アルツハイマー型認知症 [痴呆]と並び、代表的な認知症 [痴呆](にんちしょう [ちほう])のひとつとされるのが、脳血管性認知症 [痴呆](のうけっかんせいにんちしょう [ちほう])

(以前は、多発梗塞性認知症 [痴呆](たはつこうそくせいにんちしょう [ちほう]))です。
『精神疾患の分類と診断の手引き』(DSM-4)[参照:『DSM-4精神疾患の分類と診断の手引き新訂版』医学書院]では、次のように定義されています。

認知症 [痴呆]は大きく、アルツハイマー型認知症 [痴呆]と脳血管性認知症 [痴呆]にわかれ、そのほかにその混合型、そのほかのタイプが続きます。

認知症 [痴呆]の原因は、アルツハイマー型認知症 [痴呆]では不明です。
一方、脳血管性認知症 [痴呆]では、動脈硬化や高血圧に基づく脳梗塞(のうこうそく)の多発が重要な原因のひとつと考えられています。

アルツハイマー型認知症 [痴呆]の患者さんの脳は、大脳全体が委縮していると言う特徴があるのに対し、脳血管性認知症 [痴呆]の患者さんの脳をみると、ほとんどの例で脳に「梗塞巣」という小さな傷があることがわかります。
ただし、傷の数が多いからそれだけ症状が重いか、というと、単純にそうでもなく、数だけでなく、その傷が脳のどこにあるかが実際に問題となります。
脳にはさまざまな役割分担があり、知能と関係した脳の部位あるいは神経経路に梗塞や出血がおこると、傷そのものは小さくても、認知症 [痴呆]の症状が出ることがあります。

アメリカ精神医学会の『精神疾患の分類と診断の手引き』(DSM-4)[参照:『DSM-4精神疾患の分類と診断の手引き新訂版』医学書院]では、さまざまなタイプの認知症 [痴呆]の定義をあげ、認知障害などの症状を定義しています。

さらにそこに「その認知欠損が、社会的または職業的機能の著しい障害を引き起こしていること」という条件もあるように、認知症 [痴呆]の診断は、生活に支障を及ぼすほどの知能低下があるかどうか、ということになります。

この知能低下の程度(記憶力、記銘力(きめいりょく)、見当識障害(時間や場所、人の見当がつかない)をみるのによく用いられるのが、「長谷川式簡易知能評価スケール」です。

改訂長谷川式簡易知能評価スケール
質問・・・評価表と点数

1.お歳はおいくつですか?・・・正解は1点(2年までの誤差は正解)
2.きょうは、何年の何月何日、何曜日?・・・年、月、曜日の各ひとつ正解で1点。すべて正解の場合は4点。
3.わたしたちが今いるところはどこですか?・・・自発的に答えられれば2点、5秒おいて家、病院施設の中から正しい選択ができれば1点
4.これからいう3つの言葉をいってみてください。
[1]a)桜、b)猫、c)電車
[2]a)梅、b)犬、c)自動車
・・・[1]と[2]の系列のうちいずれか1つを採用して○印をつけておきます。a)b)c)のうち1つ正解で1点、2つで2点、すべて正解で3点。
5.100から7を順番に引いてください。
[1]100-7=93、[2]93-7=86

認知症 [痴呆]になると、知能の低下や行動異常などの症状が出ます。知能の低下は、認知症 [痴呆]の中核症状ですが、これら以外にも妄想や徘徊などの症状が出ることがあります。

たとえば、夫や妻の不倫を妄想して一方的に嫉妬する「嫉妬妄想(しっともうそう)」、物を盗まれたという「被害妄想(ひがいもうそう)」などです。また、「幻視」といって、本来見えないはずのものが見える、夜中に家のなかを歩きまわる「夜間せん妄」など、があります。

認知症 [痴呆]の中核症状は、知能機能の低下です。残念ながら、低下してしまった能力を元に戻すことは困難です。

しかし、たとえばアルツハイマー型認知症 [痴呆]は、脳の老化が原因とされますので、すこしでも脳の老化を遅くする治療法がとられます。たとえば、「脳代謝改善薬(のうたいしゃかいぜんやく)」を長期的に投与するなどです。
また、脳血管性認知症 [痴呆]の場合は、脳出血(のうしゅっけつ)や脳梗塞(のうこうそく)によって特定部位が障害されたり、小さな梗塞巣(こうそくそう)がたくさんできるために起こることから、脳血管障害がこれ以上すすまないようにするため、「脳循環改善薬(のうじゅんかんかいぜんやく)」や「抗血小板薬(こうけっしょうばんやく)」も併用します。

アルツハイマー性認知症 [痴呆]には、まだ根本的な治療法はないのが現実です。
それでも最近では、脳内アセルコリンの研究が進むにつれて、老年認知症 [痴呆]に対して、「コリン作動性薬物」や「コリン前駆物質(こりんぜんくぶっしつ)」を投与するといった治療法が開発されつつあります。

これは、アルツハイマー型認知症 [痴呆]や、その他の認知症 [痴呆]で特に記憶障害が起こるのは、「コリン」による神経間の連絡が絶たれるためであると考えられるからです。

●「コリン作動性薬物」、「コリン前駆物質」

「コリン作動性薬物」および「コリン前駆物質」とはどのようなものなのでしょうか?
「コリン」というのは、神経と神経のつなぎめ、神経と筋肉などの組織とのつなぎめにおいて、情報を伝達する化学物質のひとつです。

知能の働きが低下した状態を「認知症 [痴呆](にんちしょう [ちほう])」といいます。物忘れがひどくなったり、記憶力が悪くなるといった症状が出ます。
これらの症状が、40~60歳の初老期にあらわれる場合を「初老期認知症 [痴呆](しょろうき(にんちしょう [ちほう]))」と言い、65~70歳の老年期にあらわれた場合を「老年認知症 [痴呆](ろうねんにんちしょう [ちほう]))とわけて呼ぶことがあります。
脳動脈硬化などの脳血管障害に由来する「脳血管性認知症 [痴呆](のうけっかんせい(にんちしょう [ちほう]))と区別し、これらの認知症 [痴呆]は、アルツハイマー型老年認知症 [痴呆]と呼ぶことがあります。

「認知症 [痴呆](にんちしょう [ちほう])」の症状(知能の働きが低下し、物忘れがひどくなったり、記憶力が悪くなる)症状が、40~60歳の初老期にあらわれる場合を「初老期認知症 [痴呆](しょろうきにんちしょう [ちほう]))」と言い、65~70歳の老年期にあらわれた場合を「老年認知症 [痴呆](ろうねんにんちしょう [ちほう]))といいます。

●「老年認知症 [痴呆]
「老年認知症 [痴呆]とは、脳の病的な老化によって記憶障害、判断力・思考力の低下、さらには人格の変化など、さまざまな精神症状を起こす状態です。「老人ボケ」といった言い方がされることがよくありますが、あまり好ましい呼び方ではないでしょう。アルツハイマー型認知症 [痴呆]とも呼ばれます。

認知症 [痴呆]の主な症状に知能の低下があります。
まずは記憶障害から始まり、ついさっき食べたばかりの食事の内容が思い出せない、さらには食べたことすら忘れてしまい、家族が自分だけに食事を与えてくれない、と被害妄想(ひがいもうそう)に駆られたりすることもあります。

また、症状が進むと物忘れの他に、失語・失行・失認(しつご・しっこう・しつにん)といった「見当識障害(けんとうしきしょうがい)」が目立つようになります。こうなると日常生活に支障をきたすようになります。

●見当識障害
自分が置かれている場所・時間・環境を把握する認識能力を「見当識」といい、その能力が障害されることを「見当識障害」といいます。
脳の損傷などが起こると、こうした認知能力が起こることがあります。

では、失語・失行・失認とは?
●失語
聴覚や発声機能に異常がないにもかかわらず、言語の理解や発声が障害されているものを「失語」といいます。
●失行
運動障害をもたらす器質的な病変がないのに、行動が正しく行われないものを「失行」といいます。
●失認
本来認識すべき対象に対して、正常な意味理解ができなくなったものを「失認」といいます。